心地よい睡眠は?

●明日への活力をもたらしてくれる、眠り

1日8時間眠ると、起きているのは16時間。つまり、私たちの人生の3分の1は睡眠に費やされています。にもかかわらず、これまでは眠りについては、ほとんど解明されてこなかった。これは睡眠障害を深刻にとらえてこなかったことに加えて、医学的に難しい分野であったことにもよります。

しかしここ数年、不眠症や睡眠時無呼吸症候群が深刻な問題であるとの認識が広がり、睡眠障害についての症状が一般にも知られるようになりました。睡眠に関する研究は急速に進歩し、私たちの生態行動と眠りのメカニズムがだんだんわかってきたのです。

現代社会は、24時間営業しているコンビニエンスストアーやスーパーなどがあり、深夜でも昼間と同じような便利な生活ができます。便利さと引き換えに、睡眠時間が減少したり、不規則な生活を続けたりすると、本来持っているカラダの代謝のリズムに狂いを生じやすい。

それでなくても、私たちを取り巻く職場や家庭環境には、ストレスをためやすい要因がたくさん潜んでいます。複雑な人間関係に悩んだり、神経をすり減らしたり、うまくコミュニケーションをとるのが難しい時代です。ストレスを抱えながら、ため込んでしまい、昼間に感じていたストレスをそのままベッドまで持ち込んで、その結果、夜眠れない睡眠障害に陥ってしまう人も増えています。

心地よい睡眠はその日の疲れをとり、明日への活力をもたらしてくれます。ストレスに悩み、眠れない日々が続くとしだいに体調をくずしてしまいます。朝起きても気分が悪く、1日を憂うつな気分で始めなければならないでしょう。楽しく健康的な生活をするためには質のよい睡眠が不可欠なのです。睡眠のメカニズムを知り、ぐっすりと眠れる毎日を過ごしたいものです

●浅い眠りと深い眠り

ひとことで睡眠といっても、寝付いてから起きるまで同じリズムで眠っているわけではありません。人間は、浅い眠りと深い眠りを繰り返しているのです。眠りは大脳を休ませるための時間なのです。

浅い眠りとは、カラダは眠っているが頭が起きている状態。眠っていることには違いはないのだが、脳は活動しています。そのうえ、寝ていても眼球がキョロキョロ動く。浅い眠りのことをRapid 
Eye 
Movementの頭文字をとって「REM(レム)睡眠」と呼ぶようになったのは、このためです。「Rapid 
Eye Movement」とは「目がキョロキョロ動く」という意味です。

浅い眠り(レム睡眠)では脳が起きているのに対して、深い眠りでは脳も眠っています。

浅い眠りが「レム睡眠」と呼ばれるのに対して、深い眠りは「ノンレム睡眠」あるいは「脳の睡眠」と呼ばれます。ノンレム睡眠には血圧は低下し呼吸も安定します。ぐっすりとスヤスヤ眠っている状態です。

寝付くと、まずやってくるのが深い眠り、つまりノンレム睡眠です。続いてレム睡眠がやって来ます。寝付いてから1回目のノンレム睡眠とレム睡眠が終わるまでが約90分。これが1セットです。起きるまでに、ノンレム睡眠とレム睡眠のセットが4~6回繰り返されて、眠りのリズムになります。