ストレスって何?

●2つのストレス

あなたは、どんなストレスに悩まされているのでしょうか。ストレスという言葉は日常的によく使われますが、うまくコントロールしないと、様々な病気のもとになるため、放っておくと大変なことになります。きちんとした知識が必要です。
実は、ストレスには2つの意味があります。よくストレスはゴムボールにたとえられます。ボールを指で押すと凹みますが、このボールにかかる指の圧力を「ストレッサー」と呼び、凹んだ状態を「ストレス反応」といいます。

ストレッサーはストレスを発生させる要因のことで、ストレス反応はストレッサーによって引き起こされた心身の変化のことです。私たちはふだんこれを混同して使っています。

ボールのような凹みは見えませんが、人も同じ状態に置かれています。この凹みがすぐにもとに戻れば問題はありませんが、凹んだ内部にもとに戻す力がないと、いろいろな症状に悩まされることになります。

●良いストレスと悪いストレス

では、ストレスがなければ快適かといえば、そんなことはありません。家族も友人もなく、仕事も人生の目標もなく、何の刺激も緊張もなければ、かえってそれがストレスとなります。

アメリカの心理学者の刺激を与えない実験では、被験者は不眠になり、幻覚や幻聴に襲われたといいます。人は生きていく以上、ストレスから完全に逃れることはできません。どうしても適度の刺激が必要なのです。

セリエは「ストレスは人生のスパイスである」と言いました。ということは、ストレスには良い刺激もあれば、悪い刺激もあるということ。つまりストレッサーは、様々な条件次第で私たちがいきいきと暮らすための適度な刺激となったり、逆に心身を消耗させ体調不良や様々な病気を引き起こす原因になったりします。

よく、ストレスはヨットと風の関係にもたとえられます。無風状態ではヨットが進まないように、人はストレスがなければ生きていけません。逆に、台風のような暴風ではヨットが転覆するように、過剰ストレスでは人も倒れてしまいます。ヨットが颯爽と風をはらんで快走するように、人には良いストレスが必要なのです。