尿酸値の高い人は激しい筋トレに注意

運動は健康に良い。有酸素運動でも無酸素運動でも、がんばって運動しようと思っている人も多いことでしょう。そして、運動をすることで、健康のために血液検査の数値を改善することを強く意識している方も多いことでしょう。

●運動することが体に悪いことがある

しかし運動をすることによって体に悪い影響を与える場合があります。それは今回取り上げた尿酸値の高い人で、激しい運動することによって健康には逆効果になると言う話です。

痛風・尿酸値の高い人の尿酸値を下げるための運動では、体に負担がかかる激しい運動は避けなければなりません。

●その理由は・・

尿酸値の高い人が激しい運動をすると、代謝が高まり、そのために尿酸の元になるプリン体が体内で増えていくことになります。特に増えるのは、運動の強度が高まり、筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなったときです。この段階に達すると、血液中の乳酸が急激に増加し始め、乳酸によって尿酸の排泄が抑えられ、プリン体の分解が進んで尿酸値が急激に高まってくるのです。

そして、高濃度になった尿酸が針状結晶になり、関節や神経などを刺激して、激しい痛みが生じるようになるのは、よく知られているところです。

●どんな運動が良いの?

では激しい運動がいけないのであるならば、どのような運動をすれば良いのでしょうか。日本痛風・核酸代謝学会の『高尿酸結晶痛風の治療ガイドライン 2010』によると、適度な運動として「有酸素運動」を推奨しています。

筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給のことを無酸素性作業酸素消費量といい、酸素摂取量を上回る直前の状態をAT(無酸素性代謝閾値)といいます。このAT以下の軽い運動ではプリン体の分解による尿酸産生も、乳酸産生による尿酸排泄の抑制も起こらず、そのため尿酸値も変化が起こらないのです。

●有酸素運動は魔法の薬

有酸素運動は尿酸値を上昇させないだけでなく、体脂肪の減少によってインスリン抵抗性が改善して糖尿病のリスクが下がり、血圧の低下、中性脂肪値の低下、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールの上昇に加え、高尿酸血症・痛風患者に合併しやすいメタボリックシンドロームの病態を改善させるなど多くのメリットが挙げられています。

◆尿酸値の高い人!・・限界まで追い込む筋トレはやめましょう。