●喫煙よりも肥満
癌の原因に肥満が登場したのはごく最近のことです。そして急速に肥満ががんの原因である根拠は発表されるようになりました。最大の癌の原因は、あと10年で喫煙よりも肥満になるだろうと専門家は予測しています。
●肥満者急増
肥満はがんを発症するリスクを高めるだけではなく、死亡率さえ高めます。それにも関わらず、WHOは世界中の肥満者が急速に増加していることに大きな懸念を示しています。(全世界で21億人を超えている……人口比30%)
●肥満で免疫力も低下
体内に脂肪が多く蓄積されることにより、内臓脂肪や皮下脂肪以外の臓器や組織、また細胞に脂肪が溜まる事が以前より確認されています(異所性脂肪)。この中でも特に注目されているのが私たちの免疫をつかさどっている白血球の中の、ナチュラルキラー細胞に脂肪がたまり、その免疫能を低下させると言う発表です(ネイチャー)。このナチュラルキラー細胞は、私たちに毎日3000から5000のがん細胞が出来ていて、これを破壊してくれている細胞なのです・・。
●肥満と癌の報告
★ボストンのハーバード・メディカル・スクールの研究員、ジェニファー博士が率いる研究チームは、肥満とがんとの関連を3年にわたって研究しました。すると20年前の生活と比べると、がんの原因において肥満が占める率が上昇していることがわかったのです。
★ニューヨークのマウントサイナイ病院のパメラ・グッドウィン博士も、喫煙よりも肥満ががんの原因となっていると主張しています。肥満は体内のホルモン量を変化させてしまい、結果としてがんになりやすい体になってしまうというのです。実際に肥満ががんの治療を妨害し、患者の回復を妨げているとグッドウィン博士は言います。
★最近報告された英国人524万人を対象にした追跡調査によると、22種類のがんのうち17種類のがんは肥満するほど増え、特に大腸がん、肝臓がん、胆嚢(のう)がん、膵臓(すいぞう)がん、子宮がん、腎臓がんなどは肥満の影響を受けやすいことが分かってきました。
★別の研究では、がんと診断された後でも積極的に運動をして脂肪を落とした患者は、生存率が2倍にアップしたことがわかっています。
●日本でも癌の種類が大きく変わった
日本では現在2人に1人が癌になり、3人に1人が癌で死亡しています。誰もが癌と隣り合わせで生活をしているといっても過言ではないかもしれません。自分だけは癌にならない!癌は特別な病気、と思っていませんか?
以前は胃癌が最も多い癌でしたが、今では大腸がん、乳がん、前立腺がん、子宮体がん、等が増加しています。これらの癌についても肥満との関係を指摘する報告が数多くあります。
●この10年喫煙に対する対策は数多くとられた
たばこ税の引き上げや、公共施設での喫煙の禁止、また喫煙できる場所が限定、等・・喫煙者には住みづらい世の中になってきたと言えるでしょう。
一方肥満に対する対策は、日本においては未だ無策とも言えるかと思います。肥満であっても何の社会的な制約を受ける事はありません。現在、日本人の成人男性にとっては、50%が「肥満症」と言う治療を要する病気であることを知らない人が多すぎます。
●禁煙よりダイエットは簡単
長年タバコを吸っている人にタバコをやめるように決断するのは非常に難しいことです。それはタバコの依存性が非常に強いことで、タバコが体に異常に悪いと言うことがわかっていてもやめられない状況にあります。それに比べるとダイエットは、その気になれば誰でも簡単に痩せることができます。
癌は恐ろしい病気。がんの発症率を確実に上げてしまう肥満体にならないように、今できる食生活の改善から始めましょう。