●複雑な免疫システムがアレルギー反応を引き起こしています
アレルギー反応といってもタイプによって役者は随分と変わります。登場人物(細胞やタンパク質)も多彩です。アレルゲンは、ずいぶん多くの種類があるのです。ペニシリンなどの薬剤によって引き起こされることもあります。
●1・敵(抗原)が侵入する
私たちの体の中に抗原(アレルゲン)が侵入した時、主な役者は、抗原提示細胞、リンパ球、好酸球、マスト細胞などの細胞と、IgE抗体、ヒスタミン、ロイコトリエン、インターロイキンなどのタンパク質や化学物質です。これらの役者たちが、連携してさまざまな種類のアレルギー反応を演じています。
ーーーーあああああ、難しそうやなぁーーー最後まで!
私たちの体の組織等は全く異物のものが体内に入ってくると、それを撃滅させるために必死に対抗策をつくりあげています。
●2・本来は味方の抗体が味方の受容体にくっつく
生産された抗体が体内のいろいろな組織に入り、パトロールしながらその抗体とぴったりの抗原と結合する。これがいわゆる「抗原抗体反応」と言われるものです。しかしIgE抗体の場合はマスト細胞や好塩基球の表面に存在するIgE専用の受容体に付着するのです。産生されたIgE抗体は、血液中を流れて皮膚や粘膜にいるマスト細胞の表面にくっついて待機しています
ーーーホンマに、複雑ーーー最後までーーー
●3・味方の兵士(免疫細胞の暴走)
マスト細胞と好塩基球は、いずれもその細胞内にヒスタミンや白血球走化因子(白血球を集合させる因子)など強い炎症を起こす物質をため込んでいるから、1種の化学兵器の貯蔵庫のような存在なのです。
これら2種類の細胞表面の受容体にIgE抗体が結合し、さらに抗原である花粉などが侵入して、細胞表面のIgE抗体に結合することにより、その刺激で肥満細胞や好塩基球からヒスタミン、ロイコトリエンなど様々な科学兵器(生理活性物質)が放出され、周囲の血管を拡張させたり、かゆみを起こしたりするのです。さらに、他の種類の白血球を集め、炎症をますます悪化させていくことになります。
ーーーホンマに、複雑ーーー人体のズゴイシステム。
私たちの体のすごいシステム・・・。それは外敵に対する防御態勢です。日ごろからあまり外敵が私たちの体に入ってこない状態であれば、ちょっとした刺激や、ほとんど無害・無毒の成分に対しても防衛反応を引き起こすのです。
●4・過剰防衛(アレルギー反応)
ほとんど無毒・無害の花粉が侵入した位で、こんな強力な化学兵器が持ち出され、大げさな「防衛反応」が引き起こされると、そのとばっちりで自分の細胞がひどい目に会うことになるのです。
小さな蚊やハエを退治するのに、強力な光線銃を撃ちまくるようなもので、だから攻撃された周囲の細胞、組織に大きな被害を与えることになるようです。反応が軽い場合でも涙、鼻汁、蕁麻疹、喘息、などを引き起こします。反応が激しいときには呼吸困難や血圧低下によるショック症状(アナフィラキシーショック)を引き起こし生命に関わることすら起こり得るのです。(アドレナリン投与で抑制)
ーーー人間の免疫システムはまだまだ解明されていない所も多い。ーーー
●清潔にしすぎるとアレルギーになりやすい?
イギリスの疫学者ストラカンの仮説は、「乳幼児期の衛生環境によって、アレルギー体質になるかどうか、決定される」というものです。
除菌グッズが増え、きれいで、清潔な環境で過ごす今の子供たちにとって、清潔な環境は、アレルギーの発症を抑えているように見えます。
ところが、この清潔な環境にこそ、問題があったと言われています。
乳幼児期に、清潔な環境で過ごしていると、細菌・ウイルスに対する抵抗力・免疫力が十分に育ちません。
ひいては、それがアレルギーの発症に、大きく関係すると言われているからです。
ーーーお疲れ様でしたーーーわかりましたか?