人間が地球上に初めて誕生したのが、今から数百万年前と言われています。中部アフリカで発見された世界最古とされる猿人の化石は、約600万年前から700万年前のものと言われています。
この人類の長い歴史は、同時に飢餓との戦いの歴史でもあったのです。私たち人類は、飢餓と言う厳しい環境のもとで着実に生き続け、子孫を残すために、様々な適応を繰り返してきました。その長い飢餓の歴史の中で人間の体はできるだけエネルギーを節約するように変化させ、余った食事のエネルギーを脂肪として蓄えることを覚えたのです。
この仕組みが、飢餓の時代を生き抜くための武器になってきました。そしてさらに遺伝子変異を繰り返し、飢餓に強い節約遺伝子を持つ者だけが数百万年と言う長い歴史を生き抜いてきたのです。
しかし、現在のような飽食の時代が訪れ、食事の量が増えると、この節約遺伝子の働きは裏目に出てしまうことがあります。エネルギーを溜めすぎて肥満を引き起こしてしまうのです。現在の食生活は飢餓になれた私たちの体を狂わせてしまっています。
節約遺伝子は、我々人類が数百万年かけて獲得してきたものです。これに対し飽食の時代の現代は、私たちの体はこれに適応することができない状態に置かれ、飢餓に対しては強い抵抗の力を見せるが、肥満に関しては脆弱極まりないのです。
このことから、肥満による多くの病気が発症しているのです。
●飽食の時代は今始まったばかり
私たちは現在当たり前の様に、食べたいものをおなかいっぱい食べることができます。スーパーマーケットに行けば食べ物は山のように溢れ、自宅の冷蔵庫も食べ物でいっぱい。こんな豊かな飽食の時代はいつから始まったのでしょうか。
人類の歴史を1年に例えると、、、、現在のこの飽食の時代は、なんと12月31日、23時56分51秒に始まったに過ぎません。
このことを考えてみても、肥満の歴史はまだ始まったばかりなのです。