皮膚のホメオスタシス・・・スキンホメオスタシスとは何か?

私たちの体は外部環境の様々な変化に対して、正常な状態を保持しようとする、防御機構を持っています。このような機構を「ホメオスタシス」と呼んでいます。病気が治るのもこうした外部環境を一定に保とう、あるいは元通りに戻そうとする、恒常性維持機構によるものです。それを皮膚に応用して考えると「スキンホメオスタシス」、すなわち皮膚恒常性維持機構と言うことになります。

ホメオスタシスと言う概念は、ハーバード大学医学部教授のキャノン教授によって提唱された考え方です。キャノン博士が経験した事件は次のようなものでした。1950年のことです。猫の神経の研究をしていたキャノン博士は、交感神経を切断した猫を作りました。しかし、猫には何の変化も見られません。ある日、ゲージを洗うために猫を外に出して作業をしていたら、犬に見つけられて吠えられました。そうしたら、10匹のうち6匹が死んでしまいました。

交感神経は何の変化もない単純な生活の中では特別な仕事はしていませんが、生体に恒常性を保つための機能を果たしていることがわかりました。
整体のいろいろな環境に順応する柔軟なメカニズムがホメオスタシスであるとキャノン博士は説明しました。

キャノン博士の教え子だったハーバード大学皮膚科のフィッツパトリック教授は、皮膚の医学的基本の原理はスキンホメオスタシスであると提唱しています。

日本でも、化粧品メーカーの研究陣はこの考え方に基づいて、健康で美しい肌を維持回復させることを目的に化粧品の開発がされるべきであると、早くから訴求しています。

エステティックもこの原理に基づいて行われることが正しいでしょう。すなわち、どんなエステティックの施術も人間のホメオスタシス機能を高めて、環境の変化に充分に順応して、生きいきとした生活が出来るようにするのが目的なのです。