食事の変化が寿命を伸ばした

私は昭和22年生まれですが、ちょうどこの年の日本人の平均寿命は50歳と言われています。その当時、アメリカは60歳、欧米は70歳にすでに達していて、いわゆる先進国の中では下位に位置していました。

日本人の平均寿命の推移を見てみると、大正12年に日本人の平均寿命は42歳と発表されています。そして昭和22年の平均寿命が50歳、昭和26年60歳、そして昭和46年に70歳を超えます。そして昭和58年ついに世界30カ国をごぼう抜きにして、世界1の長寿国となりました。そして、それから現在に至るまで、長寿トップクラスを守ってきています。

もちろん、日本の平均寿命の伸びに関し、医療の発達や公衆衛生の発展が影響を与えているのは間違い無い事ですが、このことに関しては他の先進国も同様のことが言えるわけであって、日本人だけがこれほど急激に平均寿命を伸ばすことができたのは、なんといっても食事の変化だと考えられます。

昭和20年代までの日本では、「日の丸弁当」に代表される米飯食が中心で、バランスのとれた食生活とは言えない状況でした。
私が住んでいるのは奈良県ですが、当時の古い新聞の記事に「おばあさん池に洗濯に行き転落して溺死」と言う記事が残っています。なんとこの『おばあさん』と表現された女性の年齢は47歳でした。(奈良県・中和新聞)驚き!・・ちなみに貴方は?何歳?

さて、上記の平均寿命の推移を見てみると、昭和22年から昭和26年のわずか4年の間に日本人の平均寿命が10歳も上昇している不思議があります。この原因はあくまでも私の推測ですが、当時…米と野菜のみでの食生活に、アメリカのGHQが脱脂粉乳を提供してくれて、良質のタンパク質が摂取できるようになったことが大きな原因だと考えています。

私たち人間は雑食性の猿なので、ここがチンパンジーと全く違うところで、栄養素をバランスよくとることにより、長寿を勝ち取ることができたと推測しています。悲しいかなチンパンジーは、今でもその平均寿命は35歳程度と言われています。それは食生活が偏っている為かもしれません。

日本も昭和20年代後半から30年代前半になると家庭に冷蔵庫が普及して牛乳・肉・魚が全国的に流通するようになり、食生活は洋風化に大きく舵を切りました。昭和30年代までは寿命が伸び続けても、生活習慣病は非常に少なく、糖尿病の患者などほとんど聞かない状態でした。

現代の食生活を考えてみると、動物性タンパク質と脂質が増え、まだ単純糖質の摂取も大きく取り過ぎとなり、一方・野菜・豆類・いも・海藻などビタミン・ミネラル・食物繊維などを大く含んでいる食品の摂取が、足りない状態と、家電や自動車の普及によりほとんどの日本人が運動不足状態で、肥満者の数も危険な状態になっている現実が有ります。

まずは、私たち一人一人が毎日の食生活、口に入れる前にちょっと食事に意識をしませんか?・・・沖縄の長寿地域が崩壊していったように、日本も世界トップレベルの長寿国を返上する日が来るかもしれません。