肌にダメージを与える最大の原因は紫外線だ。いわゆる肌の老化と呼ばれるものは、加齢を除けばこの紫外線が主犯。生涯紫外線を浴びなければ、シミもシワもないキレイな肌のままでいられるはずだと考えられている。日々のスキンケアでどんなにキレイな肌を作っても、ひとたび紫外線なら3分間浴びただけで肌にシワをつくる遺伝子が働き始め、10分間浴びれば免疫力が落ちる。20分間も浴びれば肌は赤くなるが、このときにはもはや手遅れの状態なのだ。ふだんからいかに紫外線を防ぐかが美肌を作るポイントといえるだろう。
紫外線には紫外線Aと紫外線Bがあり肌にどんな影響を与えるかが異なる。
紫外線Aは真皮にまで達してコラーゲンを作る細胞を傷つけ、またコラーゲンを切断する酵素の働きを強めて、ジワジワとシワやタルミを作って行く。また紫外線Aは活性酸素を作ってDNAを傷つける。皮膚ガンを発生させることもあるから十分な注意が必要だ。ガラスを通して室内にも入ってくるやっかいなシロモノでもある。
一方の紫外線Bは、表皮に炎症(日焼けで赤くなるサンバーンと、黒くなるサンタンとがある)を起こす紫外線。一般に紫外線という場合はこの紫外線Bのことで、表皮基底層(表皮の最下部)の色素細胞に直接あるいは表皮細胞の90%以上を占める角化細胞に働きかけ、多様な物質を作らせて、それらが間接的に肌を黒くしたり、シミ・ソバカスを作ったりする。肌を乾燥させるので、当然シワもできてしまう。しかし、なんといっても紫外線Bの怖さは、皮膚ガンやシミ・シワなど光老化の原因であることだ。
紫外線Bの量は季節、天気、緯度などによって変化する。日本では5月から8月にかけてもっとも紫外線Bが強くなる。冬に比べると夏は約5倍もの紫外線Bが降り注いでいるのだ。また、赤道に近いほど照射量は増える。国内で比較しても、沖縄や鹿児島の年間紫外線B量は北海道の1.6倍から2倍に達する。紫外線B量が多い南の地域は北に比べると皮膚ガンやガンの一歩手前の前ガン症(日光角化症)患者の発生率が数倍たかい。