国は、人生100年時代と発表し、今後日本のあり方を検討していく1つの方針を打ち出しています。高齢化社会、人口減少、定年制の延長もしくは廃止、生産人口の減少、など大きな問題を抱えながら、高齢者でも元気な社会をどのように作るかが問題視されています。
●世界一の長寿国となった日本
かつて人生わずか50年と言われた時代がありました。ところが、今や日本人の平均寿命は、女性が86歳、男性は80歳になっています。一体寿命はどこまで伸び続けるのでしょうか。ある報告書では、2007年に生まれた子供は100歳を超える確率50%と発表されています。
●100歳以上の人が急増
私が生まれた昭和22年、当時100歳を超えていた人たちはわずか数十人でした。それが現在2019年の段階で70,000人を超えています。人間の長い歴史を考えてみると、わずか100年も満たない期間で人間の寿命を急激に伸ばしました。
●人間は200歳まで生きる
最近の遺伝子研究では人間の寿命は本来120歳から200歳だろうというのが常識になってきています。それは遺伝子の研究が進み「短命遺伝子」(age-1やdaf-2)と言う遺伝子が発見されて、この短命遺伝子は私たちの寿命を縮める方向に働いているとのことです。そこで、その働きを薬で抑えることに成功すれば、120歳以上の寿命も可能だろうと言われているのです。
●200歳まで生きれば大きな問題がある
ところがこれが寿命が伸びればいい、長生きできれば良い、と言うのではないのは皆さんもご承知の通りだと思います。そうです!最大の問題は、高齢化社会に伴って出現する認知症の問題です。
●脳神経細胞の長寿が追いついていない
認知症は万国共通(特に先進国)の問題ですが、肉体の寿命は、神経細胞の老化との間に大きなギャップを生じさせました。人類がジャングルからサバンナに出て20万年になろうとするのは、現代では未曾有の「長生き」を経験しているのです。医療の発達や食料の確保、社会の安定や公衆衛生などの結果でしょう。
●わが国がその最先端を走っている
私たち人間が望んでやまなかった「長寿」は皮肉なことに「認知症」と言う問題をもたらしました。残念ながら根本的な解決策は未だ見つかっていないのが現状です。そしてしかも、その最先端をわが国が走っているのです。
●人生200年時代笑に描いた餅
人生200年時代と言う遺伝子からのメッセージも、認知症をもたらす病気が克服されない限り、絵に描いた餅に過ぎません。厚生労働省の調査報告書によると認知症患者の数は今後さらに伸び続けると言われています。