●健康に良いと言われる地中海食、その中身は?
1985年にアメリカのミネソタ大学のアンセル・キース博士が、日本、アメリカ合衆国、フィンランド、オランダ、イタリア、ユーゴスラビア、ギリシャの7カ国で行った疫学研究で、地中海沿岸の国では高脂肪食を食べているにもかかわらず、血中コレステロール値が低く、動脈硬化による狭心症や心筋梗塞、脳血管障害などの冠動脈疾患が少ないことを報告し、地中海食が注目されるようになりました。
地中海食とは、イタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理のことで、以下のような共通の特性があります。
●地中海食の特性
- 果物や野菜を豊富に使用する。
- 乳製品や肉よりも魚を多く使う。
- オリーブオイル、ナッツ、豆類、全粒粉など未精製の穀物をよく使う。
- 食事と一緒に適量の赤ワインを飲む。
●地中海食フードガイドピラミッド
★毎月数回は食べる
牛肉や豚肉、お菓子やケーキなどのデザート
★毎週数回は食べる
鶏肉、卵、チーズ、ヨーグルト
★毎週少なくとも2回は食べる
魚、シーフード
★毎日の食事で毎回食べる
野菜、果物、全流穀物、オリーブオイル、豆、ナッツ類、マメ科の植物及び種子、ハーブやスパイス
◎毎日適度な運動をする。食事は誰かと楽しく食べる。
●地中海食とオリーブオイル
地中海食で豊富に使用するオリーブオイルは、水酸化チロソールと言う成分を含んでおりハーバード大学の研究によると自然界最強の抗炎症作用持っている成分と報告されています。又、不飽和脂肪酸を多く含んでいること、飽和脂肪酸を多く含む肉の摂取量が少ないこと、野菜や果物などの植物性の食品を多く摂取するために抗酸化作用が強いことなどが、健康に良い理由であると考えられます。
地中海食では、油脂としてオリーブオイルを使用します。特に、オリーブ果実を搾ってろ過しただけで、化学的な処理を行っていないそのままのエキストラバージンオリーブオイルに、認知症の発症を防ぐ効果があることが明らかにされました。
●地中海食が寿命を延ばす?
地中海食は、心疾患や肥満、糖尿病などの生活習慣病のリスクを低下させる、健康的な食事であると言われていますが、2014年にアメリカのハーバード大学の研究班により、ヒトでも地中海食が寿命を延ばす効果があることがあると言われています。
私たち人間の染色体を守るためにあると言われるテロメアは細胞分裂が繰り返されるごとに短くなっていきますが、そのテロメアの部分の長さと寿命の長さが関連することが知られています。その結果、点数が高く地中海食に近い食事をしている人ほどテロメアの長さが長いことがわかっています。
●地中海食は長寿食
ハーバード大学の研究の結果から、地中海食を食べている人は、心血管疾患、がん、パーキンソン病、アルツハイマー病のリスクが低く、死亡率も低いことが明らかにされています。また、生活習慣病の原因ともなる肥満を防止する効果もあり、健康的な食事であることが、さまざまな研究から明らかにされています。