●90%は原因不明だけど・・・
これだけ危険度の高い高血圧も、じつは原因となると、まだはっきり分からない部分が多い。高血圧は大きく分ければ、本態性高血圧と二次性高血圧の二つのタイプがあります。
●本態性高血圧は原因が不明で、全高血圧症患者のほぼ9割を占めます。原因不明とはいっても、本態性高血圧の半分は遺伝に関係するものとされ、あとの半分は生活習慣などの「環境的因子」が関係しているとされています。(あるいは両者の複合型も)
●これに対し二次性高血圧の方は、原因をはっきり特定できる高血圧症をいいます。その中でももっとも多いのが、「腎性高血圧症」といって、腎炎の病気が原因のもの。それ以外にも、ホルモンが原因になったり、心臓や大動脈の異常、あるいは妊娠中毒症や薬の副作用などによる二次性高血圧症もあります。原因がはっきりしているだけに、二次性高血圧は、手術やいろいろな治療法によって完治することもあります。
●「抑え」が治療の基本。
二次性高血圧は原因がはっきりして、正しい対処法によって完治も可能だが、高血圧の人の大多数がかかっている本態性高血圧は、原因が分からないだけに対処が難しい。少なくとも、本態性高血圧症は「完治する」といった性格のものではなく、しいていえばその対処法は「抑えておく」ことしかありません。そして血圧を抑えるもっとも効果的な手段は、近年めざましく進歩している降圧薬を服用する治療法です。
本態性高血圧症でも、遺伝に関わる部分は現状ではまだ研究段階だが、「環境的因子」が関わる高血圧症は、生活を改善することによってかなりの程度対処することが可能です。
高血圧症は「生活習慣病」のひとつに数えられるが、①食塩制限、②食事改善、③適正体重の維持、④アルコール制限、⑤禁煙、⑥運動療法、⑦ストレスの回避などによって、高血圧を予防したり、改善したりすることもできます。