体が太ってくると、当然病的な問題も気になってくることでしょう。しかしそれよりももっと重要なのは、肥満に伴って起こる身体の異常なのです。特に内臓脂肪型の肥満では注意が必要になってきます。
一概に肥満といっても、太り方は人によって様々です。女性に多いのは下半身を中心に肥満になるタイプですが、これは皮下脂肪がメインのため、危険度は比較的少ないといえます。
一方、男性の場合には、お腹がぽっこり出るタイプの肥満が多く、これは内臓脂肪が増加している兆候ともいえます。特にこのタイプの内臓脂肪型肥満が危険度が高いのです。男性でウェストが85センチ、女性で90センチを超えている時は、内臓脂肪型肥満を疑った方が良いでしょう。
肥満の元になる脂肪細胞は、これまで単なるエネルギーの備蓄組織と考えられていました。しかし実際には、(特に内臓脂肪)さまざまな生理活性物質(サイトカイン)を分泌していることがわかってきています。そしてこのサイトカインの分泌異常が病気の原因になることがわかっています。
●内臓脂肪より分泌されているサイトカイン(分泌異常→病気)
TNF-α、レジスチン、ヴィスファチン、FFA、アンジオテンシノーゲン、HB-EGF、PAI-1、IL-6、CRP、アンドロゲン、エストロゲン・・等
●肥満によって起こる病気
内分泌系ーー糖尿病、脂質異常、高尿酸血症、痛風、乳がん
脳神経系ーー脳梗塞、脳出血
循環器系ーー高血圧、心肥大、狭心症、心筋梗塞
消化器系ーー脂肪肝、胆石症、膵炎、大腸癌、胆嚢癌
呼吸器系ーー睡眠時無呼吸症候群
生殖器系ーー卵巣機能異常、子宮体癌、前立腺がん、妊娠中毒症、不妊症
筋骨格系ーー変形生膝関節症、腰痛症
■肥満を予防することが、医療費削減に直結しているとともに、要支援要介護の減少と直結している。