ときには、免疫力も爆走する。
このように免疫力は、生きていく上で必要不可欠な働きといえます。しかし、その免疫力は、ときとしてカラダに害を及ぼすこともあります。
白血球が外敵と戦うことを「免疫反応」と呼んでいます。カラダの中で免疫反応が起こると、たとえば街に潜んだ敵を空爆で攻撃すると街も被害を受けるように、カラダにも相応の被害が発生する。その被害は、困った形で現れてしまうことがあります。
動脈硬化は、血管の中で免疫反応が起こった結果として発生する病気です。また、死亡率が高い事で知られる劇症肝炎は、肝臓の細胞の中のウイルスに対して、カラダが強力な免疫反応を起こしてもたらされます。
最近、増えているアトピー性皮膚炎などのアレルギー性の病気も、免疫反応によるものです。白血球(主にリンパ球)が外からの刺激に対して、過剰反応を起こしたものと言われています。
また、慢性関節リウマチなどの膠原病は、自分のカラダを敵と誤解して起こる免疫反応といえます。白血球が自分のカラダの一部を敵と勘違いすることで、自分のカラダそのものを攻撃してしまうのです。このような白血球の勘違いによる病気を「自己免疫疾患」と呼んでいます。
白血球そのものが病気になってしまうこともあります。白血病は、異常な白血球が大量にできる病気です。白血病になると、使い物にならない白血球ばかりがたくさん増えて、免疫力が低下してしまいます。
また、エイズは白血球(リンパ球)そのものがHIVウイルスに感染して起こる病気です。いずれにしても、免疫力を元気に保っていくことが、長く健やかに生きることにつながっていくのです。