人間が猿から分かれて2足歩行し始めたのが、今から600〜700万年前と言われています。その頃から現在に至るまで、私たち人間の寿命はどのように変化してきたのでしょうか？
野生のチンパンジーの寿命は、大体25年位と言われています。当時、猿から別れた私たちの人間の祖先も、おそらく寿命は同じ位だったのでしょう。
●日本人の平均寿命の推移
1・日本で初めて平均寿命を測定したのが、大正12年と言われています。その時の日本人の平均寿命が42歳だったそうです。
2・そして、昭和22年初めて日本人の平均寿命が50歳に到達します。
3・さらに、そこからたった4年後の昭和26年には60歳を突破します。
4・そしてそれから、20年後の昭和46年に70歳の大台を超えます。
5・さらに昭和58年、私たち日本人は世界30カ国をごぼう抜きにして、当時世界一の長寿国、スウェーデンを抜いて世界ナンバーワンの長寿国になったのです。
昭和22年に、日本人の平均寿命が50歳の大台に乗ったころ、すでにアメリカでは60歳に到達していました。また、ヨーロッパでは70歳であったと伝えられています。日本人は元来、短命民族だったのです。
●日本人の寿命が、急激に伸びた理由がどこにあるのでしょうか？
何か特殊な健康食品を飲み始めたり、また日本だけが急速に医療が発達したとか、日本人が特殊な免疫力を獲得した。そういった何か特別なものを手に入れたのでは無い事は、皆さんもご存知の通りです。
●日本人が急激に平均寿命を伸ばした理由は２つ
★1つは、栄養素のバランスが取れるようになったこと。
もともと日本人の食生活は、お米を中心として、野菜と副食を少し食べていたのが、普通の人たちの食事内容でした。そこで昭和20年第二次世界大戦が終了し、日本がアメリカの統治下に入ると、当時GHQが脱脂粉乳を日本人に配給してくれました。もともと良質のタンパク質の摂取が極端に少なかった日本人の食事が一変しました。そのおかげで数年で平均寿命を10歳も伸ばすことができたのです。
それを証明する1つの話として、昭和24年頃、すでに我々日本人が平均寿命70歳に到達していた一部の地域の人たちがいました。それは沖縄からハワイに移住した日本人の人たちです。彼らは沖縄の伝統的な食事と、アメリカ式の高蛋白な食事をすることによって、バランスのとれた食生活ができ、寿命を伸ばしていました。
その後日本も経済発展することによって、食べ物が豊富に出回り、そして多くの国民が少しずつ、バランスの取れる食生活ができるようになり、世界の中でも経済大国と言われるようになる頃には、世界中が注目を集めるほど平均寿命を伸ばし長寿国になったのです。
私たちの体は、当たり前ですが食べ物でできています。私たちの起源は雑食性の猿ですから、食事バランスが最も大切なのです。
チンパンジーの話に戻りますが、野生のチンパンジーの平均寿命は25歳程度と言われていますが、もともと草食系の動物だったチンパンジーも動物園の中に入ると、平均寿命が40歳から50歳と約2倍に伸びている現実があります。（餌が豊富に与えられている）
★もう一つの寿命を伸ばした原因は医療です
日本での終末期の医療の発展は、世界中で目を見張るものがあります。そして世界に先駆けて、国民全員が医療保険に加入し、格安の医療を受けることができる国になっています。そして言い方が悪いかもしれませんが、医療の世界で、医療従事者が最も高収益を得られるものが、終末期の医療と言うところに鍵があるように思えてなりません。
悪い言い方をすれば、なかなかすんなりと死なせてせてくれない。昔なら自然の寿命に任せていたものを、延命治療と言う名のもとに、多くの器具や機械が発達し、寝たきり人口世界一と言われる日本を作り上げてしまいました。これも日本人の長寿を支えている一因になっていると考えられます。
●健康的に元気で高齢化社会を迎える
いずれにせよ、元気で長生きすることが最も大切なことである事は、皆さんも同じ考えだと思います。今、日本の国が提唱しているように、人生100年時代が到来しようとしています。健康的なバランスのとれた食事をし、適度の運動をして、前向きで生きがいのある老後を過ごし、睡眠と休養をしっかりとって、この人生100年時代を健康で迎えたいものです。
昭和20年の頃数十人しかいなかった100歳以上の人数が、今では70,000人を超えようとしています。そしてある報告では、2007年に生まれた子供のほぼ50%が百歳を超えると言う報告もあります。
この短命民族が長寿民族に登りつめた物語は、私たちに数多くのことを教えてくれているのではないでしょうか？もうすぐ日本も、定年80歳と言う時代を目の前にしています。
誰もが、はち切れるような元気と健康で、いつまでも過ごせるのであれば100歳・120歳大歓迎ですよね。