●肌再生…0.5mmの脅威の活動
私たちの皮膚は上から表皮、そして真皮、その下の皮下組織、で構成されています。表皮の基底層では新しい細胞がどんどん誕生し、肌再生を行っています。そして約2週間ぐらいかけて角質層まで押し上げられて行きます。これが皆さんも耳にしたことのある、ターンオーバーで、みずみずしくハリのある肌を作るために、この新しい細胞の誕生が欠かせないと言うことです。
なんとこの表皮の厚みは0.5mmしかありません。サランラップ程度の厚みの中でこのような大切な活動が繰り返されているのです。
●真皮の構造…2mmの不思議
そして、その下の組織の真皮にはコラーゲンが約70%存在すると言われています。コラーゲンはアミノ酸が鎖のようにつながって、そしてそれが絡み合い3重螺旋構造を作っています。その周りにエラスチンと言う組織が存在し、弾力性と肌のハリに関係しています。そして保水力の高い、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸やプロテオグリカンなどが、くっついてみずみずしさや弾力性を保っているのです。これらの真皮でコラーゲンなどを製造しているのが線維芽細胞と言う工場です。
●私たちの体に存在するコラーゲン
私たちの体には案外多くのコラーゲンが存在します。例えば平均的な53キロの女性の体には、約3キロのコラーゲンが存在すると言われていて、ペットボトルに換算すると6本程度のコラーゲンがあるということです。すごい量ですね!
●年齢とともに急速に減少
そしてこのコラーゲンが年齢とともに、凄いスピードで減量していくことを皆さんはご存知ですか?20代を100%とすると、それが30代になるとなんと60%になり、40代になると50%になり、そこからなんとびっくり!驚き!なのですが、50代になると20代の頃の25%になってしまうのです。これが大きく肌の老化と関係しています。20代の頃の100%に比較して50代になると25%と言うことになると、真皮の体積がそれだけ減少すると言うことになるので、1番上部にある肌の状況は、シワやたるみが目立って起こると言う事は容易に想像することができます。
●コラーゲンの骨
骨といえば、カルシウムなどのミネラルを思い浮かべますが、実はそれだけではありません。骨のうち約65%はミネラルですが、約23%はコラーゲン。
年齢とともに増える骨粗しょう症は、老化したコラーゲンにより、カルシウムやリンなどが定着しにくくなって起こるものと考えられています。骨の代謝には「破骨細胞」と「骨芽細胞」という2つの細胞が関わっていますが、老化したコラーゲンが増えると、特に分解を司る破骨細胞の働きが低下してしまいます。すると代謝全体が滞り、骨粗しょう症へと移行していくのです。
●関節にもコラーゲン
関節は、骨と骨とをつなぐ部位で、骨の接合部には水分をたっぷりと含んだ軟骨があり、衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。この軟骨に多く存在しているのが、コラーゲンです。軟骨は、水分を除くとおよそ80%がコラーゲンで占められています。コラーゲンは軟骨組織の土台となり、ヒアルロン酸やグルコサミン、プロテオグリカンなどは、それを埋め尽くすかたちで存在しています。加齢によって軟骨がすり減るのは、軟骨組織の合成と分解のバランスが崩れることで引き起こされます。
●コラーゲンが関節を助ける
最近の研究では、コラーゲンが軟骨のすり減りを抑えることがわかってきており、高齢化が進むなか、その働きに注目が集まっています。悲しいことですが、60代以上になるとどうなるか想像ができますか?実は60代を過ぎるとほぼ10%程度になると言われています。さぁ大変です。ほんとに大変です。これは大変です。このコラーゲンを増やす方法がないのでしょうか。実はあるのです!その事を今からお伝えしましょう。
●コラーゲンは増やせる!
2009年、京都府立大学が画期的な発表しました。それはコラーゲンの経口摂取はコラーゲンを増やす。と言う発表でした。以前はコラーゲンはアミノ酸でできていて吸収するときに、アミノ酸に分解しそのアミノ酸が体の部位でコラーゲンになると言う保証はどこにもなく、コラーゲンの経口摂取はコラーゲンを作るはずがない。と言うのが常識的な考えでした。ところが京都府立大学の発表では、実は私たちの小腸から吸収されるのは分解されたアミノ酸だけではなく、アミノ酸がいくつかくっついたペプチドの状態でも吸収されることがわかり、これが血中に多く存在する状況になれば、脳が繊維芽細胞でのコラーゲンの生成に異常が起こったと誤認して、コラーゲンの製造を増やしましたり、コラーゲンを作る工場の線維芽細胞を増殖させると言うことが確認されたのです。
●コラーゲンのアミノ酸組成が変則
そして一方私たちの体のコラーゲンはアミノ酸の組成が非常に変則で、グリシン、アラニン、プロリンと言う3つのアミノ酸が70%を占めているといわれるタンパク質なのです。ですから、体内でコラーゲンを作るときの原材料として、コラーゲンを経口摂取し分解したアミノ酸のグリシン、アラニン、プロリンが多く以内に存在することが大切な事でもあるのです。
●人間の老化にコラーゲンが影響
たんぱく質のなかで唯一の三重らせん構造をもつコラーゲンは、とても丈夫な性質をもっています。そのため、代謝の期間も長く、一度合成されると数ヶ月から数年かけてゆっくりと分解されていきます。つまり、私たち人間の老化には、コラーゲンの減少や劣化が(酸化や糖化)大きな影響を与えているのです。