●減食は寿命を伸ばす
1935年米コーネル大学のクライブマッケイ博士(栄養学者)はマウスの実験で65%にカロリーをカットしたところ、マウスの寿命が2倍に伸びたと言う論文を発表しました。しかし当時の時代背景もあって人間もそれだけ飽食の時代でもなかった時に食事を制限することで寿命が2倍位伸びると言う論文は、極めて冷たい反応しか起こりませんでした。
そしてカロリーを制限することによって寿命が伸びると言うそのメカニズムが全く不明だったのです。
●過剰栄養による病気
1975年から77年にかけてアメリカでは食料問題特別委員会と言うのが上院に設置され、2年間にわたって食生活と病気の関係に関する研究がなされました。その結果5000ページにも及ぶレポートが公開されアメリカのほとんどの病気は過剰栄養によって起こっていると断罪しました。
そして1980年代になると先進国では経済発展により飽食の時代が到来します。そして栄養学者の中には、過剰栄養によって病気が起こるのではないかと言う疑問が生まれてきます。
●そして小動物による実験が行われました
数十以上の動物実験が行われました。そうするとカロリー制限をした小動物たちはほとんどすべてが平均寿命を延ばすという結果になったのです。
●小動物はカロリー制限で寿命を伸ばした
原生動物→→寿命が1.9倍に伸びた
ミジンコ→→寿命が1.7倍に伸びた
蜘蛛→→寿命が1.8倍に伸びた
ラット→→寿命が1.4倍に伸びた
●アメリカ・ウィスコンシン大学のアカゲザルによる実験
1989年より20年間私たち人間と同じで霊長類のアカゲザルの実験を行った。7歳から14歳のアカゲザル76頭。
【20年後の結果〈2009年・医学誌サイエンスに掲載〉】
★Aグループ38頭は普通に食事を食べさせた。
《結果》ーー50%が死亡。その原因の多くはがん、心臓病、糖尿病だった。このグループの猿の中に脳の機能の低下が見られた。
★Bグループ38頭はカロリー70%で食べさせた。
《結果》ーー20%が死亡。がん、心臓病はAグループに比べて半分以下で糖尿病ゼロ。またこのグループでは脳の機能の低下は見られなかった。
このグループの猿は生存率1.6倍、病死3分の1と言う結果が出た。
日本でもこの話は、2010年頃にNHKテレビのサイエンスゼロと言う番組で放映されています。
●これらの実験により人間は過剰栄養によって多くの病気を発生すると言うことがわかってきました。そして特に肥満体の人は、体に大きな負担をかけあらゆる病気の引金になっていることが解明されつつあります。今では癌も肥満が1つの原因になっていると言う報告が多くなされるようになりました。