35億年前、地球上に初めて生命が誕生しました。そしてたった1個の細胞からスタートした生命は、350万年と言うとてつもない長い長い年月をかけて、60兆個もの細胞からなる私たちの人体を作り上げました。細胞は臓器や骨、筋肉などを作り、そしてその生体活動は未だ多くが解明することすらできない、神の領域とも言える奇跡の小宇宙でもあります。そしてまた、我々人類は、数百万年前に中部アフリカよりその歴史が始まったと言われています。その数百万年と言う、人類の歴史はほとんどが種の生き残りをかけた、飢餓との戦いでもありました。こうした状況の中で我々の有能で素晴らしい人体は、自分の生態メカニズムを巧みに変革させながらも、厳しいサバイバルゲームに勝利を収めてきたのです。
1982年、我々の人体が飢餓に対して非常に強い抵抗能力があることを証明する、ある事件が起こりました。大西洋単独横断中のスティーブン・キャラハンは航海の途中、嵐に遭遇し漂流したのです。その時、彼が持っていたのはわずか1.5メートル四方の救命ボートと、1週間分の食べ物、そして錆びついた水中銃。たったこれだけで、彼は漁師に助けられるまで、76日間も生き続けることができました。彼の記録によると、全く何も食べられなかった日が14日間、1日40キロカロリーの食物と、わずか1日15
CCの水で、どのようにして人体はキャラハンの命を支えたのでしょうか。
現在、一部の地球人は、その飢餓との対極とも言うべき飽食の時代に存在します。飽食の時代は《食欲》と言う欲望を毎日満たすことができ、食べ物の氾濫は《食べ過ぎ》と言う食習慣を作っています。今、世界で21億人以上の人たちが肥満であると警告されており、肥満が世界中に伝染病のように広がりつつあるとWHOも警鐘を鳴らしています。一方、日本においても、食の欧米化が進み、食文化の変化はさらに肥満に拍車をかけ、また文明の発達は《利便性》と言うプレゼントの代償として人類から運動を次から次へと奪っていきました。
日本肥満予防健康協会[肥満予防健康管理士]教科書冒頭文よりーー
確かに日本の生活環境は、ここ半世紀で大きく変化しました。それに伴い肥満者も数倍に増えたと言われています。
上記の文章にもあったように、われわれ人間は飢餓に対しては長い歴史の経験から、強い抵抗能力を身に付けています。しかし、飽食の時代の過剰栄養による肥満に対しては、歴史上経験のない異常な状態が体の中で起こっていることから、それに対する抵抗能力が備わっていないのです。
だから現在では《肥満が万病の元》・・・